メキシコ南部のオアハカは、美食やカラフルな街並みだけでなく、歴史や芸術、先住民族文化が今も色濃く残る街でもあります。
街を歩いていると、教会や博物館、伝統工芸、壁画、植物などが自然に視界に入り、「文化が日常の中にある街」という印象を受けました。
前回は、オアハカの街並みや市場、ローカルグルメを中心に紹介しましたが、今回は、実際に街歩きをしながら訪れた博物館やアートスポットを中心に、オアハカの文化的な魅力をまとめます。
観光名所を巡るだけではなく、その土地の背景や空気感を知りたい人に特におすすめです。
オアハカの街並み散策やローカルグルメについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
オアハカ街歩きガイド|カラフルな街並みと美食を楽しむメキシコ・オアハカの街歩きを実体験ベースで紹介。カラフルな街並みや壁画、ローカル市場、モーレやトラユーダなどの伝統料理、オーガニックマーケットまで詳しくまとめました。
Museum of Cultures of Oaxaca(オアハカ文化博物館)|オアハカの歴史を知るならここ
サントドミンゴ修道院内にある博物館
「Museum of Cultures of Oaxaca(オアハカ文化博物館)」は、サントドミンゴ教会に隣接する歴史博物館です。

建物自体が非常に美しく、かつての修道院を利用した重厚感のある空間になっていました。中庭や回廊も見応えがあり、展示を見る前から圧倒されます。
オアハカ周辺の歴史や先住民族文化、宗教、生活に関する展示があり、街歩き前に訪れると、その後の観光がより面白く感じられると思います。
オアハカ伝統の木彫工芸品など、地域文化を感じられる展示もありました。

モンテ・アルバンの発掘品展示が印象的
特に印象的だったのは、モンテ・アルバン遺跡の発掘品展示です。
黄金の装飾品や土器、石像などが展示されており、古代文明の高度さを感じました。とても繊細な装飾や保存状態の良さにも驚かされました。
特に宝物類は、金・銀細工や宝石を使ったものまで、細部まで丁寧に作られていて、時間をかけて観て回りました。
遺跡観光だけでは分からなかった背景を知ることができ、モンテ・アルバン遺跡とあわせて訪れると、古代文明への理解が深まると思います。
さらに、展示数も多く、想像以上に見応えがあります。じっくり見るなら1〜2時間ほど確保しておくと安心です。
また、館内には「サポテカ暦」の展示もありました。
動物や自然現象などを表す記号が並び、独自の文字体系や世界観が感じられて興味深かったです。

Jardín Etnobotánico de Oaxaca(オアハカ民族植物園)|植物から知るオアハカ文化
ガイドツアー限定で入場できる植物園

サントドミンゴ教会の隣にある「Jardín Etnobotánico de Oaxaca(オアハカ民族植物園)」は、オアハカ州原産の植物を集めた植物園です。
特徴的なのは、自由見学ではなくガイドツアー形式でのみ入場できることです。(2025年3月時点)
※ただし、公式ウェブサイトによると、現在はガイドツアーの開催状況が変わったようで、訪問する際は確認が必要です。
公式ウェブサイト(スペイン語、英語などに対応)
Jardín Etnobiológico de OaxacaSomos un espacio cultural dedicado a la conservación y propagación de plantas nativas de Oaxaca. ¡Ven y conoce parte de …
ツアーの参加希望者は、ツアー開催時間の少し前から受付が始まりました。
私が訪れた際は英語ツアーが定員に達していて、1時間後のスペイン語ツアーに参加しました。
ツアーは約1時間で、話をしている内容はほとんど理解できませんでしたが、それでも十分楽しめる雰囲気がありました。
ちなみに、隣接する「Museum of Cultures of Oaxaca(オアハカ文化博物館)」から植物園の一部を眺めることもできます。

飲み物は持ち込み禁止で、直前に購入したコーヒーを入口付近で飲み切ってから、入場しました。

サボテンやリュウゼツランなど乾燥地帯の植物が並ぶ
最初は、とうもろこしなどの作物の畑エリアからスタートしました。

ひょうたんのような植物もありました。

園内には巨大なサボテンやリュウゼツランなど、メキシコらしい植物が多く植えられていました。




ガイドの方が、サボテンに寄生するカイガラムシが赤い色素を放つこと、また、植物の切り口から泡立つ樹液が出る様子を実演してくれ、石鹸(シャボン)のように使われていたという説明も印象的でした。

石造りの建物と植物の組み合わせも美しく、とても丁寧に手入れされていて、静かな庭園のような空間でした。

1時間かけてゆっくり回ってくれるので、スペイン語が分からなくても、植物園の景観を眺めながら歩くだけで十分楽しめました。

Museo Textil de Oaxaca(オアハカ織物博物館)|織物文化を身近に感じる博物館
オアハカ伝統の織物を展示
「Museo Textil de Oaxaca(オアハカ織物博物館)」では、オアハカ周辺で受け継がれてきた伝統的な織物を見ることができます。
また、無料で見学できるのも嬉しいポイントです。
比較的コンパクトな博物館で、人も少ないので、落ち着いた雰囲気でゆっくり見学できました。
あまり写真を撮らなかったので、伝わりにくいかもしれませんが、伝統的な織物だけでなく、現代アートのようなユニークな刺繍展示もあり、見応えがありました。
その時期によって、展示物が変わるようなので、気軽に入場しても楽しめると思います。


ベニート・フアレスの家|メキシコ史を知るスポット
先住民族出身の大統領ベニート・フアレス
メキシコでは「建国の父」とも呼ばれ、先住民族(サポテコ族)出身として初めて大統領になった人物として知られています。
自由主義改革(レフォルマ)を断行し、教会の権力制限やフランスによる介入から国家の独立を守り抜きました。
また、幼い頃に両親を亡くし、非常に貧しい環境で育ったと言われています。その後、養子のような形で支援を受けながら学び、法律を学んだ後に政治家として活躍するようになりました。
そうした生い立ちもあり、現在でもメキシコ国内で非常に尊敬されている人物です。
メキシコシティ国際空港は、「ベニート・フアレス国際空港」と呼ばれることもあります。
また、3月21日は「ベニート・フアレスの日」とされており、メキシコの祝日のひとつになっています。
少年時代を過ごした家を見学
「Casa de Juárez(ベニート・フアレスの家)」では、彼が少年時代を過ごした家を見ることができます。
豪華な邸宅というより、当時の生活を感じられる素朴な建物でした。


展示エリアは広くありませんが、説明からベニート・フアレスの生い立ちや人柄がよくわかりました。

メキシコの歴史に詳しくなくても、街中で何度も名前を見かける人物なので、背景を知る意味でも立ち寄る価値があるスポットでした。
竹田鎭三郎のアトリエ|オアハカに残る日本人芸術家の足跡
オアハカを拠点に活動した版画家
オアハカには、日本人版画家・竹田鎭三郎のアトリエがあります。
竹田鎭三郎は、日本出身の画家・版画家で、1970年代後半からオアハカを拠点に活動してきた人物です。
オアハカの自然や先住民族文化に強く惹かれ、この土地をテーマにした作品を数多く制作したと言われています。
また、自身の制作活動だけでなく、オアハカの美術教育や若い芸術家の育成にも大きく関わってきました。
オアハカ自治大学(UABJO)で長年教鞭を取り、多くの若手アーティストを育てたことでも知られています。現在でも、竹田氏の名前を冠した版画ビエンナーレが開催されているそうです。
竹田鎭三郎氏を知ったきっかけ
オアハカに着いた日にホステルで出会ったメキシコの方に、私は日本人です、という話をしたら、
「オアハカには日本人アーティストがいるんだよ、ちょうど展覧会をやっているから、時間が合ったら行こう」と言われたことが竹田氏を知ったきっかけです。
しかし、日程が合わず、展覧会をやっている場所も聞きそびれたので、行くことはできませんでした。
Galería Shinzaburo Takedaへ行ってみた
どうしても諦めきれず、ネットやGoogle mapsで情報を探して、竹田氏のギャラリーに行ってみました。
竹田氏の版画作品は展示されていませんでしたが、アート教室のようになっていて、ギャラリーには生徒さんの作品が飾られていました。

オアハカで暮らす人々の日常や文化が伝わってくるような版画が多かったです。



繊細な線で構成された版画から、伝統文化に対する想いや、どことなく力強さも感じられました。
日本とメキシコ文化のつながりを感じた
オアハカの街を歩いていると、版画や壁画、グラフィックアートを見かける機会が多くあります。
前回の記事では、街中の壁画や色彩豊かな街並みを中心に紹介しましたが、その背景にはこうした芸術文化が根付いていることを感じました。
その中で、日本人芸術家がこの土地で長年活動し、地域の芸術文化に貢献していたことを知ると、オアハカのアート文化がより身近に感じられました。
日本人旅行者にとっては特に興味深いスポットで、オアハカという街の懐の深さを感じられる場所でした。
展覧会に行けなかったことは残念ですが、素晴らしい芸術家を知れたこと、そして、オアハカの芸術文化に長年貢献してきた足跡を感じることができて、とても印象に残りました。
まとめ|オアハカは“文化を歩いて楽しめる街”だった
前回紹介した市場やローカルグルメ、カラフルな街並みも魅力的でしたが、オアハカはそれだけではなく、歴史・芸術・自然・先住民文化が日常の中に溶け込んでいる街でした。
巨大な観光施設を巡るというより、街を歩きながら少しずつ文化に触れていく感覚が心地よく、散策そのものが旅の楽しみになる場所でした。
博物館で歴史を知り、植物園で自然文化にふれ、織物やアートから人々の暮らしを感じることで、オアハカという街がより立体的に見えてきました。
グルメや街歩きに加えて、もう一歩深くオアハカを知りたい人におすすめの文化散策コースです。
オアハカ空港から市内への移動方法については、こちらの記事で紹介しています。
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