2025年9月、カミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」巡礼6日目。
この日はエステージャ(Estella)からトーレス・デル・リオ(Torres del Río)まで約28kmを歩きました。
これまでで最も長い距離でしたが、前日までのような大きなアップダウンが少なく、思った以上に順調に歩くことができました。
当初はロス・アルコスまで歩く予定でしたが、その後の行程を考えて、この日はさらに約7km先のトーレス・デル・リオまで進むことにしました。
途中には有名なワインの泉や巡礼仲間との交流など、この日もカミーノならではの出来事がたくさんありました。
この記事では、エステージャからトーレス・デル・リオまで歩いた一日の様子を紹介します。
前日にプエンテ・ラ・レイナからエステージャまで歩いた様子は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ フランス人の道 5日目|プエンテ・ラ・レイナからエステージャへ|巡礼者との交流が深まるカミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」5日目の体験記です。プエンテ・ラ・レイナからエステージャまで約21.9kmを歩き、寄付制アルベルゲでの共同生活やミサ、巡礼者との交流を紹介します。
カミーノ・デ・サンティアゴのルートや費用、持ち物などについては、カミーノ全体のまとめ記事で紹介しています。
巡礼6日目のルート・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発地 | エステージャ(Estella) |
| 到着地・宿泊地 | トーレス・デル・リオ(Torres del Río) |
| 距離 | 約28.3km ※カミーノアプリ「Camino Ninja」より |
| 歩行時間 | 約8時間半(休憩含む) |
| 天候 | 晴れ |
| 宿泊施設 | Hostal Rural La Pata de Oca |
ウォーキングアプリの記録です。
休憩時間を含むため、実際の歩行時間とは多少の誤差があります。

当初はロス・アルコス(Los Arcos)まで歩く予定でした。
しかし、その後の日程を確認すると、
- 翌日 :ロス・アルコス → ログローニョ:約27.9km
- 翌々日:ログローニョ → ナヘラ:約29.6km
と、25kmを超える行程が2日続くことになります。
まだ巡礼序盤だったため、この先の行程を少しでも分散させるため、この日はさらに約7km先のトーレス・デル・リオまで歩くことにしました。
この日の体調
股関節の痛みはすっかりなくなり、この時点で気になっていたのは足にできたまめだけでした。
6日目のポイント
朝6時半、仲間とともに出発
朝はアルベルゲで簡単な朝食をとりました。
クラッカーやパン、コーヒーなどのシンプルな内容でしたが、長い一日を歩くには十分です。
寄付制アルベルゲだったので、ドア付近の寄付箱に寄付金を入れて、6時半過ぎ、まだ薄暗い中を出発しました。
この日一緒に歩き始めたのは、同じアルベルゲに宿泊していたエマ、リン、オーストラリア人、スペイン人、アメリカ人の巡礼仲間です。
一方、ルーカスは「自分のペースで歩きたいから」と、この日は別行動に。
「またアルベルゲで会おう。」
そう約束して、それぞれのペースで歩き始めました。
歩き始めて間もなく、Ayegui(アジェギ)にある鍛冶場「Forge of Ayegui」に立ち寄りました。ここでは巡礼スタンプをいただくことができます。

巡礼手帳にスタンプが一つ増えるたび、「今日も歩いた」という実感が湧いてきます。
店内にはカミーノをモチーフにした手作りの置物などが並んでいて、見ているだけでも楽しめました。

ワインの泉を楽しみにしていたけれど…
この日の楽しみの一つが、Bodegas Irache(ボデガス・イラチェ)の「ワインの泉」でした。
巡礼者の間でも有名なスポットで、水だけでなく無料のワインも提供されています。

7時30分頃に到着すると、蛇口は目の前にありました。
「もしかして出るかな?」
試しにひねってみると、昨日の残りだったのでしょうか。
ほんの少しだけワインが流れ出てきました。
しかし、案内を見るとワインの提供は朝8時から。

あと30分待てば飲めます。
みんなで相談しましたが、
「今日は28km歩くし、この30分は大きいよね。」
という話になり、結局ワインは諦めて先へ進むことにしました。
少し残念でしたが、みんなで相談して決めたことも良い思い出になりました。
コーヒー休憩とアイスでひと息
朝の涼しい時間帯は順調に距離を伸ばせました。
9時30分頃にはビジャマヨール・デ・モンハルディン(Villamayor de Monjardín)のBar Ilarriaに立ち寄り、コーヒーを飲みながらトイレ休憩。
巡礼では、こうした小さな休憩が本当にありがたく感じます。
28kmという長い距離を歩く日は、無理に休憩を減らすより、途中でこまめに休みながら進むほうが安心だと感じました。

さらに11時20分頃には、Pilgrims’ Oasis Food Truckでアイスを食べながら休憩しました。

木陰にはテーブルが設けられ、心地よい風も吹いていたため、多くの巡礼者が休憩していました。

ウクレレの演奏が響く畑の道
この日、最も印象に残った時間の一つが、畑の中を歩いていたときのことです。
一緒に歩いていたアメリカ人の巡礼仲間は、小さなウクレレと一緒に歩いていました。
曲のリクエストなどを受けながら、歩いている途中で何曲か演奏してくれました。

歌ってくれたのは、「Take Me Home, Country Roads」や「Hotel California」。
広大な畑を吹き抜ける風に乗って、ウクレレの音色と歌声が静かなカミーノに響きます。
歩きながら聴いたその音楽が、この日の景色とともに印象に残りました。

ロス・アルコスで昼食休憩
ロス・アルコスでは屋外マーケットを見つけて、野菜やフルーツを買いました。

その後、13時頃にBar Restaurante Maviへ。
この日はリンと一緒に昼食をとりました。

注文したのは、ボカディージョとタパスのヒルダ(Gilda)、レモネードで、約6ユーロでした。

午後に備えてしっかり腹ごしらえをしました。
エマたち他のメンバーは少し後ろを歩いていたため、別のお店で昼食を食べたようです。
食事を終えた後は、ロス・アルコスの中心部にあるサンタ・マリア教会(Iglesia de Santa María de Los Arcos)を訪れました。

長距離を歩く途中でも、こうして町の歴史や文化に触れられるのがカミーノの楽しみの一つです。



ここから先はいよいよ、この日最後の約7km。
最長距離更新に向けて、再び歩き始めます。
トーレス・デル・リオまで最後の7km
ロス・アルコスを出発すると、次の目的地であるトーレス・デル・リオまでは約7km。
私が歩いた2025年9月時点では、途中に気軽に休憩できる場所がほとんどなかったため、水分や軽食はロス・アルコスで準備しておくと安心だと感じました。

昼食をしっかり食べておいて正解でした。
午後になり日差しも強くなってきましたが、この日はアップダウンが少なく、歩きやすい道が続きます。
「28kmなんて歩けるだろうか」と朝は少し不安もありましたが、ここまで来ると「意外と歩けているな」という気持ちに変わっていました。
やがて、小高い丘の上にあるトーレス・デル・リオの町が見えてきます。
町が見えてから意外と距離があり、また、最後の坂道が待っていて、この区間が思った以上に大変でした。
それでも坂を登り切ると町に到着です。
16時前に到着できたことで、シャワーや洗濯を済ませても夕方の時間をゆっくり使うことができました。
この日歩いた距離は、ここまでのカミーノで最長となる約28kmでした。
かなり疲れてはいましたが、「自分でもこれだけ歩けるんだ」という自信にもつながった一日でした。
カミーノで使用した持ち物や準備については、こちらの記事で紹介しています。
【実体験】カミーノ巡礼の持ち物・荷物・装備完全ガイド|1000km歩いた私のおすすめ装備カミーノ・デ・サンティアゴを43日間、約1,000km歩いた実体験をもとに、持ち物を詳しく紹介。必須アイテムや便利だったもの、荷物を軽くするコツ、途中で買い替えた装備、失敗・反省点までまとめました。
お祭りでにぎわうトーレス・デル・リオ
この日はちょうど地元のお祭りが開かれており、町の広場には長いテーブルが並び、地元の人たちが食事やお酒を楽しんでいました。
カミーノを歩いていると、観光地だけでなく、こうした地域の日常に出会えるのも面白いところです。
観光地のお祭りというより、地域の人たちが集まる温かい雰囲気のお祭りで、旅先の日常に少しだけ混ぜてもらえたような気持ちになります。
16時前には、この日の宿 Hostal Rural La Pata de Ocaに到着しました。

シャワーを浴びて洗濯を済ませると、ようやく長い一日が終わったという実感が湧いてきました。
アルベルゲには小さなプールもあり、巡礼者の中には足だけ浸けて疲れを癒やしている人もいました。
見ているだけでも気持ちよさそうでした。
カードゲームで過ごした穏やかな夕方
17時半頃に、自然と巡礼仲間が集まり始めました。
エマ、リン、ルーカス、オーストラリア人、スペイン人、アメリカ人、イタリア人。
ビールを片手にテーブルを囲み、トランプを使ったカードゲームが始まります。

エマが2つゲームを紹介してくれました。
私たちにも分かるようにルールを一つひとつ説明してくれ、みんなで笑いながら何度も勝負します。
この日はどこへも出かけず、アルベルゲでゆっくり過ごしました。
長距離を歩いた日は観光地を巡るのではなく、アルベルゲで巡礼仲間と過ごす時間もカミーノの楽しみの一つだと感じました。
歩いた距離はこれまでで最長だったものの、仲間と笑いながら過ごす時間が疲れを忘れさせてくれました。
カミーノで出会った巡礼仲間との交流については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
カミーノ・デ・サンティアゴで出会った人たち|43日間歩いて感じた人とのつながり2025年にカミーノ・デ・サンティアゴを43日間歩いて出会った巡礼者との体験を紹介します。世界中から集まる人々の国籍や歩く理由、一人旅でも友達ができるのか、カミーノならではの人とのつながりや魅力を実体験をもとにお伝えします。
教会の前で夕食
夕食を食べようと町を歩いてみると、巡礼者メニューを提供しているレストランもありました。
ただ、この日は18ユーロほどで、予算オーバーだったため、食料品店を探すことにしました。
小さな商店もありましたが、品数はあまり多くなく、価格も高めでした。
私はライ麦パンとハム、紙パック入りのガスパチョを購入。
すると、リンがロス・アルコスで買っていたサラダリーフを「一緒に食べよう」と分けてくれました。
ライ麦パンにハムとサラダを挟み、簡単なサンドイッチが完成です。
教会(Iglesia del Santo Sepulcro)前の石段に座り、それぞれが持ち寄った夕食を囲みました。
あり合わせの夕食でしたが、仲間と囲んで食べるサンドイッチは格別でした。

ルーカスとのコーヒータイム
夕食を終え、そろそろ休もうと思っていると、ルーカスが声を掛けてくれました。
「コーヒー飲まない?」
テラスに座り、日本やドイツのこと、お互いの生活や文化について話しました。
ただ、この日は28km歩いた疲れもあり、頭が思うように働きません。
英語で伝えたいことがあっても、言葉がなかなか出てこなくなっていました。
それでもルーカスは急かすことなく、私が言葉を探すのを辛抱強く待ってくれます。
ゆっくり話を聞き、分からないところは優しく聞き返してくれるので、安心して会話を続けることができました。
気付けばアルベルゲの消灯時間である22時。
結局、そこまでずっと話し込んでいました。
ルーカスとは興味や価値観が似ていて、その後もよく話すようになり、カミーノで特に気の合う友人の一人になりました。
夜中まで続いたお祭り
「今日はたくさん歩いたし、長い一日だったからぐっすり眠れそう。」
そう思ってベッドに入ったのですが、そう簡単にはいきませんでした。
外では地元のお祭りが続いており、大音量の音楽が夜遅くまで鳴り響いています。
音楽はスペインの伝統的な音楽ではなく、ヘヴィメタルのような音楽。
しかも、ベッド横の窓が開いたままで、音も冷たい風も部屋に入ってきます。
夜になると気温も下がり、窓から入る風で部屋は少し寒く感じます。
窓を閉めようとしたもののベッドフレームが邪魔していて閉めることができず、そのまま寝るしかありませんでした。
音楽は明け方3時から4時頃まで続き、寒さと騒がしさに耐えながら過ごした夜となりました。
歩き疲れていたおかげで何とか眠ることはできましたが、この日一番の試練は、28km歩いたことではなく、この夜だったかもしれません。
翌日、巡礼仲間と「昨晩はナイトメア(悪夢)だったね」と話しました。
まとめ|最も長い距離を歩き、巡礼仲間とたくさん過ごした日
この日は約28kmと、ここまでの巡礼で最も長い距離を歩きました。
出発前は不安もありましたが、アップダウンが少なかったこともあり、想像していたより余裕を持って歩くことができました。
ワインの泉でみんなと相談して先へ進んだこと、麦畑でウクレレの演奏を聴きながら歩いた時間、ビールを飲みながらカードゲームで笑い合った夕方、そしてルーカスとのコーヒータイム。
振り返ると、一番印象に残っているのは、歩いた距離よりも一緒に過ごした仲間との時間でした。
28kmという長距離でも、仲間と一緒に歩いたり、途中で休憩したり、食事をしたりしながら進むことで、最後まで歩き切ることができました。
最長距離を歩いた達成感と、仲間との温かい交流。そのどちらも忘れられない一日でした。






