2025年10月、私はカミーノ・デ・サンティアゴのフランス人の道を34日間歩いた後、フィステーラ・ムシアの道を5日間歩きました。
当初の予定では、そこで巡礼を終える予定でした。
フィステーラ・ムシアの道を歩いていた時、他の巡礼路を歩いた巡礼者たちから聞いて興味を持ったのが、ポルトガル人の道の派生ルート「Variante Espiritual(バリアンテ・エスピリトゥアル)」でした。
Variante Espiritualは、水上巡礼(Traslatio)が体験できることで知られる比較的新しい巡礼ルートです。
この記事では、私が実際に歩いた4日間のルート・宿泊地・歩行距離・宿泊費をまとめます。
これからVariante Espiritualを歩こうと考えている方の参考になれば幸いです。
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ポルトガル人の道 Variante Espiritualとは?
Variante Espiritualは、ポルトガル人の道(Camino Portugués)の派生ルートの一つです。

一般的なポルトガル人の道はポンテベドラからカルダス・デ・レイス方面へ向かいますが、Variante Espiritualは海沿いのガリシア地方を経由して再び本ルートへ合流します。
最大の特徴は、水上巡礼(Traslatio)が体験できることです。
聖ヤコブの遺骸が船で運ばれたという伝承に由来しており、巡礼者は実際にボートに乗って川をさかのぼります。
なお、このルートは比較的新しく整備された道で、その独自性から近年人気が高まっているルートと言われています。

私の巡礼データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 4日間 |
| 総距離 | 約105.2km |
| 宿泊費 | 47€(1日平均15.7€) |
| 交通費 | 5.7€(バス:Santiago de Compostela→Pontevedra) 30€(ボート:Vilanova de Arousa→Pontecesures) |
| 時期 | 2025年10月 |
| 巡礼証明書 | 取得対象外 |
今回の巡礼では、Vilanova de ArousaからPontecesuresまでの区間で水上巡礼を利用しました。
そのため、全行程を徒歩で歩いたわけではありません。
Variante Espiritual4日間のルート一覧
私は4日間で約105.2kmのルートを巡り、宿泊費は合計47ユーロ(1泊平均15.7ユーロ)でした。
また、サンティアゴからポンテベドラまでのバス代5.7ユーロ、水上巡礼のボート代30ユーロがかかりました。
以下に、実際のルート・宿泊地・歩行距離・宿泊費をまとめます。
歩行距離はカミーノアプリ「Camino Ninja」を参考にしています。
| 日数 | 宿泊地 | 歩行距離(km) | 宿泊施設 | 宿泊費(€) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A Armenteira | 20.6 | Albergue De Peregrinos San Ero Armenteira | 10 |
| 2 | Vilanova de Arousa | 24.5 | Albergue Variante Espiritual | 12 |
| 3 | Herbón | 32.6 | Convento de Herbón(寄付制) | 25 |
| 4 | サンティアゴ・デ・コンポステーラ | 27.5 | – | – |
| 合計 | – | 約105.2 | – | 47 |
※クレジットカード払いが可能だった宿泊施設は表内で赤字表示しています
※3日目のVilanova de Arousa〜Herbónの一部の区間は、水上巡礼(ボート)を利用しました。そのため、表の32.6kmはルート全体の距離であり、実際には全区間を徒歩で歩いていません。
※私はPontecesures到着後にPadronにも立ち寄ったため、この日の実際の歩行距離は11.7kmでした。
なぜVariante Espiritualを歩いたのか
もともと私には、このルートを歩く予定はありませんでした。
フランス人の道とフィステーラ・ムシアの道を歩いたら、巡礼を終える予定でした。
しかし、フィステーラ・ムシアの道を歩いている途中、他の巡礼路を歩いた巡礼者からVariante Espiritualの話を聞く機会がありました。
「水の流れが綺麗な場所がある」
「ボートに乗る巡礼が面白かった」
「他の道とは印象が違う」
そんな話を聞いているうちに興味が湧いてきました。
しかし、フランス人の道とフィステーラ・ムシアの道は続けて歩いていたため、体調を崩してしまい、私はサンティアゴ・デ・コンポステーラで3日間休養しました。
その後、フランス人の道とフィステーラ・ムシアの道を一緒に歩いた巡礼仲間とは別れ、一人でこのルートを歩くことにしました。
巡礼証明書の取得が目的ではなく、ただこの道を歩いてみたいという気持ちが強かったからです。
本来であればポルトガル人の道を最初から歩く選択肢もありました。
しかし、ガリシア地方は秋以降は雨が多く、寒いという話を聞いていたので、今回はポルトガル人の道全体ではなく、特に興味を持ったVariante Espiritualだけを歩くことにしました。
フィステーラ・ムシアを歩いた時の様子はこちら
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4日間歩いて感じた難易度
私が歩いた4日間のうち、1〜3日目はほぼ雨でした。
ガリシア地方は秋から雨の日が増えると言われており、私が歩いた10月中旬から下旬もほぼ毎日のように雨が降っていました。
特にA Armenteira周辺の山道では濡れた石畳やぬかるみもあり、思った以上に体力を使いました。
一方で、霧のかかった森や雨に濡れた石造りの集落はとても美しく、ガリシアらしい風景を楽しめたとも感じています。
フランス人の道と比べると全体の標高差はあまりなく、急な山道もないので、その点では比較的歩きやすかったです。
距離自体は1日20〜30km程度ですが、天候によって体感難易度は大きく変わるルートだと思います。
特に印象に残った場所
修道院(Mosteiro de Santa María da Armenteira)
多くの巡礼者から「修道院(Mosteiro de Santa María da Armenteira)に泊まるといいよ」と勧められました。
私も宿泊を検討しましたが、料金や予約の都合もあり、今回は別のアルベルゲに宿泊しました。
それでも夕方に行われた特別なミサには参加することができました。
ミサではシスターたちが讃美歌を歌っており、その澄んだ歌声がとても印象に残っています。

歴史ある修道院の厳かな雰囲気の中で行われるミサは、今回の巡礼でも特に心に残る体験の一つでした。
宿泊はしませんでしたが、Variante Espiritualを歩くなら一度訪れる価値のある場所だと感じました。
石と水の小道(Ruta de Pedra e da Auga)
2日目に歩いたRuta de Pedra e da Auga(石と水の道)は、今回の巡礼で特に印象に残った場所の一つです。
小川沿いに続く遊歩道には、歴史ある石造りの水車が点在しており、ガリシアらしい豊かな自然を感じながら歩くことができます。

フランス人の道では畑や山間部を歩くことが多かったため、このような水辺の景色はとても新鮮でした。
私が訪れた日は雨でしたが、木々や苔が雨に濡れてより美しく見えました。
晴れていたらまた違った魅力があるのだろうなと想像しました。

実際に、このルートをおすすめしてくれた巡礼者たちも「ここが一番良かった」と話していました。
フランス人の道にも自然豊かな区間はありますが、川沿いを歩きながら水車を眺める景色はまた違った魅力がありました。
水上巡礼(Traslatio)
Variante Espiritual最大の特徴が、水上巡礼(Traslatio)です。
これは、聖ヤコブの遺骸が船でガリシアへ運ばれたという伝承に由来すると言われています。
伝承によると、エルサレムで殉教した聖ヤコブの遺骸は弟子たちによって船で運ばれ、現在のPadrón周辺へ到着したとされています。
水上巡礼は、その伝承に基づいた航路をたどるものです。
巡礼者はVilanova de Arousaからボートに乗り、アロウサ湾やウジャ川をさかのぼりながら、聖ヤコブゆかりの地をたどります。
航路沿いには、世界で唯一の海上十字架の道標とも言われる石の十字架(Cruceiros)が並んでいます。


一般的なカミーノは徒歩で進む巡礼路ですが、この区間では船に乗って巡礼を続けるのが特徴です。
フランス人の道やフィステーラ・ムシアの道では体験できない巡礼方法で、とても新鮮でした。
私はこの区間を歩いていないため、実際の徒歩距離は表の距離より短くなっています。
寄付制アルベルゲ Convento de Herbón
修道院を利用した寄付制アルベルゲで、今回の巡礼で最も印象的だった場所です。
当初はPadrónのアルベルゲに宿泊する予定でした。
しかし、Variante Espiritual初日に出会った巡礼仲間が、友人からこのアルベルゲを勧められ宿泊するという話を聞き、私も興味を持って宿泊することにしました。


フランス人の道でもいくつか寄付制アルベルゲに宿泊しましたが、このアルベルゲはさらに特別な感じがしました。
私は、かつて修道院の子どもたちが使用していたという小さな2人部屋に宿泊しました。

部屋には椅子と2段ベッドだけが置かれた質素な空間でしたが、不思議と居心地の良さを感じました。

特別なミサと修道院ツアー
夕食の前に、修道院の併設の教会でミサに参加しました。

また、ミサの後、修道院を巡るガイドツアーが開催されました。
修道院の歴史を説明していただいたり、内部にある資料室などを見て回ることができます。

このツアーは、約1時間かけて丁寧に説明していただけました。
ボランティアガイドの方は、スペイン語で説明された内容を翻訳アプリで確認した後、英語でも補足説明をしていただきました。
コミュニティディナー
コミュニティディナーは、宿泊した巡礼者たちとオスピタレロ全員でサラダ、スープ、パンとワインをいただきました。
また、ディナーの際、オスピタレロの奥様が作られたホタテ貝のモチーフのストラップもいただきました。

オスピタレロたちの温かさや修道院ならではの体験が印象的で、心に残る滞在になりました。
寄付制のため宿泊料金は決まっていませんでしたが、私は25ユーロを寄付しました。
フランス人の道やフィステーラ・ムシアの道も含めたカミーノ全体で見ても、私にとってはベスト3に入るアルベルゲでした。
こちらのアルベルゲについては、また別記事で詳しく書こうと思っています。
Variante Espiritualを歩いて感じた魅力
私にとってVariante Espiritualは、自然の中で自分と向き合える道だと思いました。
Variante Espiritualは、ポルトガル人の道の派生ルートであり、分岐点では、多くの巡礼者がそのまま本ルートを進んでいました。
しかし、ガリシア地方らしい自然、水上巡礼、修道院アルベルゲなど、このルートならではの体験がありました。
また、一人で歩いたことで、自分自身と向き合う時間も多くなりました。
歩いている中で不思議な縁を感じる出来事もありました。
Variante Espiritualだけでは巡礼証明書は受け取れなかった
もともと巡礼証明書の目的で歩いたわけではありませんが、サンティアゴに到着した後、一応、巡礼事務所を訪問しました。
結果として証明書を受け取ることはできませんでした。理由は、水上巡礼のボートでの移動を除いた歩行距離が100kmを越えていなかったためです。
また、巡礼事務所では、Variante Espiritual単独ではCompostelaの発行要件を満たさない旨の説明も受けました。
現在の発行条件や必要書類は変更される可能性があるため、これから歩く方は事前に最新情報を確認することをおすすめします。
こんな人におすすめ
- ポルトガル人の道を歩く予定の人
- 水上巡礼(Traslatio)を体験してみたい人
- 森や川沿いなどガリシアらしい自然を楽しみたい人
- 修道院や寄付制アルベルゲに興味がある人
まとめ|雨のガリシアと水上巡礼が印象的な4日間
Variante Espiritualは、ポルトガル人の道の中でも少し特別なルートでした。
雨の日が続き、体調も万全ではありませんでしたが、その分だけガリシアの自然や巡礼の静かな時間を深く味わえた気がします。
特に水上巡礼とHerbónの寄付制アルベルゲは、今でも強く印象に残っています。
個人的には、海岸風景が印象的だったフィステーラ・ムシアとは対照的に、Variante Espiritualは森や川、修道院などを通じて静かな時間を味わえる巡礼路でした。
フランス人の道ほど有名ではありませんが、その分だけ落ち着いた雰囲気がありました。
自然や修道院、水上巡礼など、ガリシアらしい巡礼を体験したい方にはぜひ歩いてみてほしいルートです。
カミーノを歩くために必要な持ち物や予算、事前準備については、以下の記事で詳しくまとめています。
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