2025年9月、カミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」巡礼8日目。
この日はログローニョ(Logroño)からナヘラ(Nájera)まで約30kmを歩きました。
前日は人と過ごす時間が少し長く感じ、「今日は一人で歩こう」と決めて出発しました。
ところが、一日の終わりには世界各国の巡礼者たちと一つの食卓を囲み、「これぞカミーノ」と思える忘れられない夜になりました。
前日にトーレス・デル・リオからログローニョまで歩いた様子は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ フランス人の道 7日目|トーレス・デル・リオからログローニョへ|女子会と寄付制アルベルゲカミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」7日目の体験記。トーレス・デル・リオからログローニョまで約21kmを歩き、人気の寄付制アルベルゲに宿泊。朝焼けやブドウ畑の景色、巡礼仲間との交流、コミュニティディナーの様子を紹介します。
この日のルート
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発地 | ログローニョ(Logroño) |
| 到着地 | ナヘラ(Nájera) |
| 距離 | 約29.6km ※カミーノアプリ「Camino Ninja」より |
| 歩行時間 | 約7時間(休憩含む) ※ウォーキングアプリの記録より |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 天候 | 晴れ |
ウォーキングアプリの記録です。
休憩時間を含むため、実際の歩行時間とは多少の誤差があります。

この日の体調
足のまめの痛みはまだ残っていましたが、それ以外の体調は問題ありませんでした。
人気の公営アルベルゲを目指して早朝に出発
この日の目的地は、ナヘラの公営アルベルゲ「Albergue Municipal de Nájera」。
宿泊費は6ユーロとリーズナブルで人気があると予想されたため、満床になる前に到着したいと思い、朝6時過ぎには出発しました。
出発前にはアルベルゲで用意されていたビスケットとコーヒーをいただきました。

それから、感謝の気持ちを込めてアルベルゲの寄付ボックスへ寄付金を入れました。

また、この日はルーカスに荷物の一部を預けました。
ルーカスは荷物を発送する場所へ寄る予定だったことに加え、前日にアルベルゲで干した洗濯物を取り込むのを忘れていました。
このアルベルゲでは物干し場が夜20時から翌朝まで施錠されるため、ルーカスはオスピタレロが開けてくれるのを待ってから出発することになりました。
私は「今日は少し一人で歩きたい」と他のメンバーにも伝え、一人で静かな朝の巡礼路を歩き始めました。


ナバレッテで教会を見学し、仲間と再会
歩き始めてしばらくすると、小さなお店でバナナを買い、食べながら歩きました。
9時頃にはナバレッテ(Navarrete)へ到着し、アスンシオン教会(Iglesia Santa María de la Asunción)を見学しました。

教会の中には繊細な装飾や美しい祭壇、歴史を感じる展示物が並び、その荘厳な雰囲気に思わず足を止めて見入ってしまいました。


教会を見学した後は、すぐ横にある「Bocatería Move」でマフィンとコーヒーを注文して休憩しました。

私が到着したときには、すでにリンがテラス席で休憩していました。
この日はお互い一人で歩いていたので、トイレに行くときにはお互いのバックパックを見ていました。
リンが先に出発した後、今度はルーカスがやってきました。
コーヒーを飲みながら少し話をしたあと、そのまま二人でナヘラへ向けて歩き始めました。
ルーカスと旅暮らしの話をしながらナヘラへ
普段、ルーカスは歩くスピードが速いため、途中で会っても別々に歩くことがほとんどでした。
しかし、この日は自然と一緒に歩き続けることになりました。
ルーカスはノマドワーカーとして、家族と一緒に世界各国を転々としながら暮らしています。
滞在した国や子どもの教育、働き方など、旅暮らしならではの話をたくさん聞かせてくれました。
私も日本で製薬会社に勤めていたことや、これまで旅した国について話しながら歩きました。
気付けば何時間も会話が続いていましたが、不思議と疲れは感じませんでした。
途中、遠くに連なる山並みが見え、その美しさに何度も足を止めて景色を眺めました。

ナヘラ到着!顔なじみの巡礼者たちと再会
ナヘラ(Nájera)が近づくと、それまで歩いてきた風景とはまったく違う景色が目に飛び込んできました。
赤茶色の岩肌が大きく露出した崖の下に町が広がっていて、「どうしてこんな地形になっているんだろう」と思わず見入ってしまいました。

スペインでこれまで見てきた町とは雰囲気が異なり、ナヘラならではの印象的な景色でした。
ナヘラは、ナヘリージャ川による浸食でできた赤い砂岩の崖に囲まれた町として知られています。
午後1時過ぎ、ナヘラへ到着しました。
アルベルゲへ向かう途中、リンから「もうかなり人が待っているから、急いだほうがいいかも」とメッセージをもらいました。
到着すると、そこには日本人のご夫婦と、日本人女性の巡礼者もいて、少しお話しすることができました。
また、これまで何度も顔を合わせてきた巡礼者たちもいて、「また会えたね」と声を掛け合いました。
一方、エマはこの日はナバレッテで宿泊することにしたため、久しぶりに別行動となりました。
ナヘラには王立サンタ・マリア修道院(Monasterio de Santa María la Real)など見どころもありますが、この日は夕食の準備をすることになっていたため、町をゆっくり観光する時間はほとんどありませんでした。
みんなで作った夕食は「これぞカミーノ」だった
キッチンで始まった共同作業
このアルベルゲのキッチンは決して広くはありませんでしたが、フライパンや鍋、お皿、カトラリーなどは十分にそろっていました。
塩やコショウ、お酢などの基本的な調味料も用意されており、共有食材としてニンニクやパスタも置かれていました。
ただし、オリーブオイルはなかったため、必要な人は自分で購入していました。
ルーカスが「今日はみんなで料理しよう」と提案してくれました。
私は野菜スープ担当になり、シャワーと洗濯を済ませたあと、それぞれ材料の買い出しに行くことになりました。

買い物から帰ってくる途中、受付で知り合った日本人ご夫婦と再会し、「たくさんはないけれど、一緒に食べませんか?」と声をかけました。
さらに、日本人女性にも声をかけ、みんなで夕食を囲むことになりました。
料理をすると旅ではなく「日常」に戻れる
調理をしながら、私はルーカスたちにこんなことを話しました。
「料理をしていると、毎日歩くだけの生活から少しだけ日常に戻ったような気持ちになる。」
朝から歩き続け、アルベルゲに着いたらシャワーを浴びて寝るだけという生活が続いていました。
そんな中で、みんなで献立を考え、買い物へ行き、料理をする時間は、旅の途中でありながら普段の暮らしを思い出させてくれます。
カミーノでの毎日はとても楽しかった一方で、連日の長距離歩行で心も体も少し疲れていました。
だからこそ、家で夕食を作っているような何気ない時間に、不思議なくらい安心したことを今でもよく覚えています。
ルーカスたちも共感してくれ、料理をしている間だけは、巡礼者ではなく普段の生活に戻ったような気持ちになれました。
世界各国の巡礼者が集まった食卓
ルーカスとリンと一緒に調理をしていると、エルサルバドル出身の女性巡礼者も隣で料理を始めました。
英語は話せませんでしたが、私の知っている簡単なスペイン語と、少しスペイン語を話せるルーカスのおかげで、会話を楽しみながら一緒に料理をすることができました。

ルーカスは料理が好きで、普段から家族にもさまざまな料理を作っているそうです。
この日もビール・ジャガイモ・ピーナッツバターを使った創作料理を作ってくれました。

最初はどんな味になるのか想像できませんでしたが、食べてみると驚くほどおいしく、その場にいた全員が絶賛していました。
私の野菜スープ、リンのゆで卵、日本人ご夫婦が持ち寄ってくださったチーズとワイン、エルサルバドルの女性が分けてくれたパスタが並び、食卓はどんどん豪華になっていきました。

さらに、アメリカ、デンマーク、スウェーデンなど、さまざまな国の巡礼者が自然と集まり、気が付けば大きな食卓ができあがっていました。

後日、リンと「あの日は本当に『ザ・カミーノ』って感じだったね」と話したことを覚えています。
前日は「少し一人になりたい」と思っていました。
それでも、この夜は不思議なくらい心地よく、時間を忘れて笑い合っていました。
カミーノの食事事情はこちらの記事で詳しく紹介しています。
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ナヘラで休養するつもりが、新たな悩みが…
夕食後、翌日の予定についてルーカスとリンと話しました。
私は初日から休養日を取らずに歩き続けていたため、ナヘラでもう一泊して体を休めようと思っていること、一人でゆっくり過ごしたいことを伝えました。
二人は翌日、サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ(Santo Domingo de la Calzada)まで歩く予定で、「本当に一緒に来ない?」と何度も誘ってくれました。
それでも私の気持ちを話すと、「無理をしない方がいいね」と理解してくれました。
2日後にグラニョン(Grañón)の寄付制アルベルゲに一緒に泊ろうと約束しました。
ところが、その日の夜になって思わぬ問題が分かります。
受付でオスピタレロと他の巡礼者が「翌日はナヘラのお祭りがあるため、町中の私営アルベルゲはほとんど予約で埋まっている」と話しているのが聞こえてきました。
私が宿泊していた公営アルベルゲ「Albergue Municipal de Nájera」は連泊できません。
休養日は取りたい。
でも泊まる場所が見つかるか分からない。
どうするか決められないまま、その夜は眠りにつきました。
おまけ:ルーカスに教えてもらった「ビールポテト」のレシピ
日本へ帰国した後、あの日食べたビールポテトが忘れられず、ルーカスにレシピを教えてもらいました。
アルベルゲのキッチンで横から作る様子を見ていたので、大まかな作り方は覚えていましたが、細かいポイントも改めて教えてもらいました。
材料
- ジャガイモ
- ニンニク
- オリーブオイル
- ピーナッツバター
- ビール
- お好みのスパイス(スモークパプリカ、チリパウダーなど)
- 塩(スモークソルトがおすすめ)
- レモン(お好みで)
作り方
- ジャガイモをオリーブオイルとスパイスで和え、オーブンで焼く。
- フライパンでニンニクを炒める。
- ビールとピーナッツバターを加えてよく混ぜる。
- 弱火で20分ほど煮込み、濃くなりすぎたら水を少し加える。
- お好みでスモークパプリカ・チリ・レモンなどを加える。
- 焼いたジャガイモにソースを絡めれば完成です。
ルーカスによると、ビールはしっかり煮込むことが一番のポイントだそうです。
時間をかけて煮込むことでビールの風味が変化し、苦みが和らいでまろやかな味になります。
実際に日本で作ってみましたが、とてもおいしく、ナヘラでみんなと囲んだ食卓を思い出しました。

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まとめ|これぞカミーノと感じた日
朝は「今日は一人で歩こう」と思って出発しました。
だからこそ、自分のペースで静かに歩く時間も、とても大切な時間でした。
一方で、その日の終わりには、国籍も年齢も関係なく、一つの食卓を囲んで笑い合っていました。
一人の時間も、人と過ごす時間も、どちらも必要だからこそ、この夜がこれほど特別に感じられたのだと思います。
日本へ帰国してから、ルーカスに教えてもらったビールポテトを実際に作ってみました。
あのおいしい料理を食べるたびに、ナヘラで過ごしたにぎやかな夜を思い出します。
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