カミーノ フランス人の道 1日目|サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからロンセスバージェスへ

フランス

2025年9月、私はカミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」の巡礼をスタートしました。

巡礼1日目は、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからピレネー山脈を越え、ロンセスバージェスまで歩く約24.5kmのルートです。

フランス人の道の中でも最初の難所として知られる区間ですが、この日は朝から夕方まで雨。

絶景は見られなかったものの、幻想的な景色や巡礼者との出会いなど、忘れられない一日になりました。

この記事では、1日目の様子を時系列で紹介するとともに、宿泊したロンセスバージェスのアルベルゲについても詳しく紹介します。

前日にサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ到着するまでの様子や、巡礼事務所での受付、出発前の準備については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

カミーノ フランス人の道 0日目|ルルドからサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ
2025年9月、カミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」出発前日の体験記です。ルルドからサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへの移動、巡礼事務所での受付、アルベルゲ、街歩き、巡礼前夜の様子を実体験をもとに詳しく紹介します。

巡礼1日目のルート

項目内容
出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポー
(Saint-Jean-Pied-de-Port)
到着地ロンセスバージェス
(Roncesvalles)
距離約24.5km
※カミーノアプリ「Camino Ninja」より
歩行時間約9時間(休憩含む)
難易度★★★★★
天候雨(終日)

写真の地図の赤いルートを歩きました。

ウォーキングアプリの記録です。休憩中に一時停止するのを忘れていたため、実際の歩行時間とは多少の誤差があります。

アルベルゲで朝食を食べて出発

この日は朝5時半過ぎに起床し、宿泊していたアルベルゲ(Gîte Le Chemin vers l’Etoile)で朝食をいただきました。

前日のチェックイン時に「朝食をどうするか」と聞かれ、自分で準備する予定だと伝えたところ、「日曜日は営業しているお店が少ないよ」と言われたため、アルベルゲの朝食をお願いすることにしました。

朝食はセルフサービスで、パン、リンゴやバナナなどのフルーツ、コーヒー、生卵が用意されており、卵は自分でフライパンを使って焼いて食べるスタイルでした。

内容としては十分でしたが、料金は8ユーロ、少し高めでした。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの街中で、歩き始めてすぐに「Ogitegia」というベーカリーが営業しているのを見つけたため、結果的にはそこで朝食や歩きながら食べる軽食を購入してもよかったかなと思いました。

ベーカリー「Ogitegia」

朝6時30分前には、アルベルゲを出発し、カミーノ最初の一歩を踏み出しました。

オランダ人夫婦との出会いから始まった巡礼

同じ部屋にはオランダ人のご夫婦が宿泊していました。

出発前に「一緒に歩く?」と声をかけていただき、アルベルゲを出てからしばらくは3人で歩くことになりました。

話を聞くと、お二人は数年前から毎年2週間ほど休暇を利用してカミーノを歩いているとのこと。

前年までにオランダからサン・ジャン・ピエ・ド・ポーまで歩き終えており、今年も2週間ほど歩き、数年後にサンティアゴ・デ・コンポステーラへ到着する予定だと話していました。

一度に最後まで歩くことしか考えていなかった私にとって、「母国から何年もかけて少しずつ歩く」という巡礼スタイルはとても新鮮でした。

朝6時30分前に出発した頃は、まだ辺りは真っ暗でした。

街灯や巡礼者のヘッドライトを頼りに歩き始め、30〜40分ほど経ってようやく少しずつ空が明るくなってきました。

暗い時間帯は足元も見えにくいため、特に段差などに注意しながら歩きました。

歩き始めて15分ほどすると、フランス人の女の子とカナダ人の男性に出会いました。

まだ真っ暗だったため、お互いヘッドライトを付けて歩いており、顔はほとんど見えませんでした。

日が昇って周囲が明るくなってから、「こんな顔だったんだ」と初めてお互いの表情が分かり、不思議な感じがしました。

その後は5人でピレネー山脈を目指して歩き始めました。

雨のピレネー山脈を歩く

この日歩くのは、ピレネー山脈を越える「ナポレオンルート(Route Napoléon)」です。

フランス人の道の中でも特に人気があるルートで、天気が良ければピレネー山脈の雄大な景色を楽しめます。

名称は、一般的にナポレオン軍がスペイン遠征の際にこの周辺を通過したことに由来すると言われています。

私も絶景を楽しみにしていましたが、この日は朝から雨。

残念ながら山全体が霧に包まれ、遠くの景色はほとんど見えませんでした。

アルベルゲを出発して間もなく雨が降り始め、レインポンチョとザックカバーを装着しました。

この日はレインポンチョが大活躍しました。私が43日間歩いて実際に使った持ち物や装備については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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この日は夕方までほとんど雨が止むことはなく、1日中レインウェアを着たまま歩くことになります。

この区間は標高約1,450mのレポエデル峠付近まで上り坂が続くため、思っていた以上に体力を使いました。

レインポンチョを着て歩いていると、体温や湿気がこもって暑く感じます。

一方で、休憩すると濡れた服や汗が冷え、一気に寒さを感じることもありました。

雨の日は体温調節が難しく、歩いている時と休憩中の体感温度の違いがとても大きかったのを覚えています。

途中には馬や牛が放牧されていて、のんびり草を食べる姿に癒やされました。

一方で、登山道には牛や馬のふんが落ちている場所も多く、足元を確認しながら歩く必要がありました。

霧に包まれた山道は幻想的で、天気が良い日とはまた違った景色を楽しむことができました。

視界は限られていましたが、雨の日ならではの静かな雰囲気が印象に残っています。

後日、私の前日や翌日にピレネー山脈を越えた巡礼者に話を聞くと、「遠くの山々まで見渡せて本当にきれいだった」と口をそろえて話していました。

わずか1日違うだけで景色がまったく変わることに驚くと同時に、「またいつか晴れた日に歩いてみたい」と思いました。

Refuge Orissonで最初の休憩

午前9時前、「Refuge Orisson」に到着しました。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーを出発してから最初の休憩ポイントとして、多くの巡礼者が立ち寄ります。

ここで最初のコーヒー休憩を取りました。

重たい荷物を下ろし、レインポンチョを脱ぐと、ようやく一息つくことができました。

施設の外にはトイレや給水できる場所もあり、多くの巡礼者が休憩していました。

ただ、トイレは1つしかないので、順番待ちの時間がかかりました。

休憩後、歩くペースの速かったオランダ人ご夫婦とは自然と別れることになりました。

ところが、ご主人が途中で大切なアクセサリーを落としてしまったことに気付き、探すために引き返していきました。

その後はフランス人の女の子とカナダ人の男性と一緒に歩き続けました。

途中でフランス人の女の子がブラックベリーを見つけ、「地面に近い実は動物の尿がかかっていることがあるから、上の方の実を食べるといいよ」と教えてくれ、食べごろの実を選んでくれました。

実際に食べてみると甘酸っぱく、とても美味しかったのを覚えています。

この区間はトイレがほとんどありません。

山頂付近ではどうしても我慢できず、フランス人の女の子と交代で周囲を見張りながら、草むらで用を足しました。

山岳区間ではトイレの数が限られているため、利用できる場所では早めに済ませておくことをおすすめします。

フードバンで温かい紅茶にほっと一息

11時40分頃、途中にあるフードバンに到着しました。

山頂付近には、営業していれば軽食や飲み物を購入できるフードバンがあります。

巡礼事務所では、このフードバンの営業時間は午後1時までだと聞いていたので、間に合うように到着することができて安心しました。

ここでは温かい紅茶(3ユーロ)をいただきました。

冷たい雨の中を歩き続けていたため、温かい飲み物が体に染み渡り、本当にありがたく感じました。

山道を歩いているうちに、気付けばフランスからスペインへ入っていました。

国境を示す標識はありましたが、国境検査もゲートもなく、そのまま歩いて隣の国へ入れることに少し感動しました。

自分の足で国境を越えたのは人生で初めての経験です。「本当にスペインまで歩いて来たんだ」と実感し、巡礼の始まりをより強く感じた瞬間でした。

山頂を越えると、いよいよロンセスバージェスへ向かう下り坂です。

雨でぬれた登山道は非常に滑りやすく、転倒しないよう慎重に足を運びながら歩きました。

ロンセスバージェスのアルベルゲに到着

午後3時30分頃、ロンセスバージェスのアルベルゲ「Roncesvalles Pilgrims’ Hostel」へ到着しました。

前日に巡礼事務所では「ロンセスバージェスのアルベルゲは予約しておいた方がいい」と勧められました。

私も事前に予約を試みましたが、予約システムの操作がうまくいかず、予約できないまま出発することになりました。

当日も予約システムで苦戦している巡礼者を見かけましたが、予約が完了していた人はスムーズに受付を済ませていました。

事前に予約できる場合は、予約しておくことをおすすめします。

なお、予約完了メールが届いていなければ予約は完了していないため、事前に確認しておくと安心です。

詳細や予約は、「Roncesvalles Pilgrims’ Hostel公式サイト」をご確認ください。

当日は事前予約をしていませんでしたが、まだベッドに空きがあり、無事に宿泊することができました。

一方で、受付には多くの巡礼者が並んでおり、チェックインまで30分ほど待ちました。

この日は朝から夕方まで雨の中を歩き続けていたため、到着した頃にはすっかり疲れ切っており、早く休みたい気持ちでいっぱいでした。

アルベルゲへ到着するとようやく一息つけると思っていましたが、実際には荷物の整理や洗濯、シャワー、夕食の準備、翌日のルート確認など、やることがたくさんありました。

気が付けばあっという間に夜になっており、初日は慌ただしく一日が終わったのを覚えています。

※2025年9月時点の「Roncesvalles Pilgrims’ Hostel」の宿泊料金は以下のとおりです。料金は変更される可能性があります。

宿泊のみ:14ユーロ
宿泊+夕食:29ユーロ
宿泊+朝食:21ユーロ
宿泊+夕食・朝食:35ユーロ

カミーノのアルベルゲの設備や選び方、予約方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。

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アルベルゲの各設備(シャワー・洗濯・食事・ベッド)

このアルベルゲはベッド数が多い一方で、シャワーは順番待ちになるほど混雑していました。

洗濯・乾燥設備

地下には洗濯設備があり、洗濯機は3ユーロ、乾燥機は4ユーロでした。

手洗い用のシンクや無料の脱水機も利用できたため、私は手洗いした後に脱水機だけ利用しました。

物干し場は洗濯設備と同じ部屋にあり、脱水機で十分に水を切ることができたので、手洗いした衣類も翌朝には乾いていました。

ただ、洗濯・乾燥室は19~20時には施錠されたので、使用する場合は、早めに洗濯を終わらせる必要があります。

また、レインポンチョは1階の干し場に掛けることができましたが、靴は中までびしょ濡れになり、一晩では完全には乾きませんでした。

カミーノでの洗濯方法や乾かし方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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ベッド・ロッカー

私の部屋は地下にあり、2段ベッドが並ぶ10〜12人部屋で宿泊しました。

また、充電できるコンセントは、ベッドの近くになく、数も限られていて、少し不便でした。

硬貨を入れて施錠できるロッカーがあったので、貴重品などはその中に入れました。

一方で、上階の部屋は比較的新しくきれいに見えました。

充電用のコンセントもベッドの近くにあり、便利そうでした。

どの部屋になるかは当日の割り当て次第なので、運もあると思います。

食事・キッチン

私は素泊まりを選択しました。

夕食と朝食付きのプランもありましたが、料金がやや高く感じたためです。

アルベルゲ周辺にはレストランやカフェがほとんどないため、食事付きプランを選ぶか、自動販売機を利用することになります。

キッチンには電子レンジやシンク、電気コンロがあり、お湯を沸かしたり、簡単な調理ができたりする程度の設備が整っていました。

自動販売機には電子レンジで温めて食べられる軽食や菓子パン、スナックなどが販売されていました。

私は前日に食べきれなかったピザと、日本から持参したインスタントみそ汁で夕食を済ませました。

一緒に歩いていたフランス人の女の子は、自動販売機で温かい軽食を購入して食べていました。

カミーノでの食事事情やおすすめの携帯食については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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1日目を歩き終えて感じたこと

フランス人の道は、この日が最も標高差の大きい区間です。

雨も重なり想像以上に体力を消耗しましたが、「ここを越えれば本格的な巡礼が始まる」という達成感も大きく感じました。

初日は朝から夕方まで雨が降り続き、ピレネー山脈の絶景を見ることはできませんでした。

それでも、オランダ人ご夫婦、フランス人の女の子、カナダ人の男性との出会いがあり、カミーノならではの温かい交流を初日から体験できました。

出発前は、一人で黙々と歩き続ける一日を想像していました。

しかし実際には、歩きながらおしゃべりをして気分転換をしたり、道に迷いそうになれば相談したり、困ったことがあればお互いに助け合ったりと、仲間がいたおかげで安心してピレネー山脈を越えることができました。

初日は慣れないことばかりで、さらに朝から夕方まで雨が降り続いていたため、もし一人だったらもっと大変だったと思います。

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最初の難所を歩き切ったことで、「これからサンティアゴまでの巡礼が始まるんだ」という実感が湧き、自信にもつながりました。

雨で始まった巡礼でしたが、この一日は、これから続くカミーノの旅を象徴するような、忘れられないスタートになりました。

初日は歩くだけで終わりではなく、アルベルゲに着いてからも荷物の整理や洗濯、夕食、翌日の準備と慌ただしく過ごしました。

歩く時間だけでなく、こうした日々の生活も含めてカミーノなのだと実感した一日でした。

次の日からもどんな出会いや景色が待っているのか、期待しながら眠りにつきました。

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