2025年9月、カミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」巡礼3日目。
この日はスビリ(Zubiri)からナバラ州の州都・パンプローナ(Pamplona)まで約20kmを歩きました。
緑の多い道を進み、途中では寄付制(ドナティーボ)の休憩所やバルでひと休み。
そしてパンプローナでは、初めて寄付制のアルベルゲに宿泊しました。
コミュニティディナーや宿泊者限定のミサにも参加し、巡礼者同士の交流を身近に感じた一日です。
この記事では、スビリからパンプローナまでの道のりや、途中の休憩、パンプローナの街歩き、初めて宿泊した寄付制アルベルゲでの体験を紹介します。
前日にロンセスバージェスからスビリまで歩いた様子は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ フランス人の道 2日目|ロンセスバージェスからスビリへ|アルベルゲ探しに苦戦カミーノ・デ・サンティアゴ「フランス人の道」2日目の体験記です。ロンセスバージェスからスビリまで約21kmを歩いた様子や、ポルトガル人巡礼者との出会い、アルベルゲ探しに苦戦した体験、宿泊したアルベルゲについて紹介します。
カミーノ・デ・サンティアゴのルートや費用、持ち物などについては、カミーノ全体のまとめ記事で紹介しています。
巡礼3日目のルート・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発地 | スビリ(Zubiri) |
| 到着地・宿泊地 | パンプローナ(Pamplona) |
| 距離 | 約20.4km ※カミーノアプリ「Camino Ninja」より |
| 歩行時間 | 約6時間半(休憩含む) |
| 天候 | 曇り時々小雨 |
| 宿泊施設 | ALBERGUE FOR PILGRIMS, BETANIA |
ウォーキングアプリの記録です。
休憩時間を含むため、実際の歩行時間とは多少の誤差があります。

3日目のポイント
アルベルゲの朝食を食べて出発
朝6時30分から、アルベルゲで朝食をいただきました。
朝食は宿泊費に含まれており、パンや飲み物などシンプルな内容でした。歩き始める前に軽く食事を済ませることができました。


この日は、カミーノ1日目に一緒に歩いたカナダ人男性と一緒に出発しました。
前日ほどの疲れはありませんでしたが、股関節の痛みと足にできたまめはまだ残っていました。
筋肉痛はほとんどなく、前日よりも体が動いたことに安心しました。
私が実際に体調を崩した経験や対策については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ・デ・サンティアゴで体調不良になったら?実際に経験した症状と対処法カミーノ・デ・サンティアゴを43日間歩いた私が、足のまめ、風邪、嘔吐、食欲不振、アレルギー症状など実際に経験した体調不良と対処法、常備薬、薬局の利用、巡礼中の体調管理について紹介します。
緑と川沿いの気持ちいい道を歩く
この日は大きな上りが少なく、前日よりも比較的歩きやすいコースでした。

川沿いを歩いたり、木々の緑も豊かで、とても気持ちの良い景色が続きます。

前日のピレネー越えとはまったく違う雰囲気で、自然を楽しみながらゆっくり歩くことができました。
途中には寄付制(ドナティーボ)の休憩所があり、コーヒーとビスケットをいただきました。

日本のお遍路で見られる「お接待」のような文化だなと感じました。
巡礼者を応援したいという気持ちで飲み物や食べ物を提供する温かい雰囲気があり、カミーノらしい優しさを感じました。
バルで休憩
午前9時40分頃、「La Parada de Zuriain」というバルで休憩しました。

店内にはボカディージョやトルティージャなどが並んでいましたが、私はほうれん草のトルティージャとコーヒーを注文しました。
料金は4.5ユーロでした。


カミーノではトルティージャを何度も食べましたが、具はジャガイモや玉ねぎが多かったです。
ほうれん草のトルティージャはほとんど見かけませんでした。
バックパックを降ろしてゆっくり食べるトルティージャは格別のおいしさでした。
休憩していると、アルベルゲで一緒だった日本人女性も追いつき、3人でしばらく休憩しました。

さらに途中では、前日にアルベルゲのベッドを譲ってくれたポルトガル人男性にも再会しました。
改めてベッドを譲ってくれたお礼を伝え、前日に宿泊したアルベルゲはどうだったかなどを話し、しばらく一緒に歩きました。
歩くペースは人それぞれですが、同じ巡礼者と何度も再会するのもカミーノの魅力です。
少しずつ知っている人が増え、「また会えたね」と声を掛け合えるようになり、カミーノらしさを感じ始めました。

パンプローナに到着
パンプローナが近づく頃、小雨が降り始めました。
ポンチョを着ましたが、本降りにはならず、しばらくすると雨は止みました。
パンプローナへは城壁に囲まれた街へ続く門をくぐって入ります。


歴史ある街へ足を踏み入れる瞬間は、とても雰囲気があり、「いよいよ大きな街に着いた」という気持ちになりました。


初めての寄付制アルベルゲ
パンプローナへ向かう途中、初日に一緒に歩いたエマ(フランス人)からWhatsAppでメッセージが届きました。
「私は寄付制のアルベルゲに泊まるよ」と教えてくれたので、私もそこへ向かうことにしました。
アルベルゲの種類や利用方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。
カミーノのアルベルゲとは?実際に泊まって感じた設備や注意点カミーノ・デ・サンティアゴのアルベルゲについて、設備や料金、チェックイン、予約方法、防犯対策、ドミトリーの様子を実体験をもとに紹介。43日間宿泊して感じたことや、おすすめのアルベルゲも紹介します。
アルベルゲ「ALBERGUE FOR PILGRIMS, BETANIA」には14時前に到着。


ちょうどエマと、ほかのフランス人巡礼者3人がフランス語で受付の説明を受けているところでした。

早めに到着できたため、無事ベッドを確保することができました。
私が到着した時には、ドイツ人のルーカス(仮名・40代男性)も受付で順番を待っていました。
受付を担当していたのは、ドイツ人のオスピタレロ(アルベルゲで巡礼者を迎えるボランティアスタッフ)です。
「よかったら英語で一緒に説明を受ける?」と声をかけてくれ、私とルーカスの2人で英語による説明を受けました。
説明を待つ間に少し話をすると、ルーカスは、家族と一緒にさまざまな国を旅しながら生活していると話してくれました。
日本にも興味があり、「日本語を勉強したいんだけど、どうやって勉強するのがおすすめ?」と質問されました。
このときは、まだ少し言葉を交わしただけでした。
また、アルベルゲには日本人女性も宿泊していて、「日本人がいるよ」とスタッフが紹介してくれて、隣のベッドに案内してくれました。
このアルベルゲには洗濯機や手洗い用のシンクはありませんでした。
その代わり、指定の洗濯ネットに入る量であれば、1.9ユーロで洗濯から乾燥までしてもらえるサービスがありました。

1日目と2日目は手洗いだったため、この日は洗濯を任せて少し休むことができました。
カミーノでの洗濯事情については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ巡礼の洗濯事情|毎日の洗濯方法と役立った持ち物カミーノ・デ・サンティアゴを43日間歩いた実体験をもとに、毎日の洗濯方法やアルベルゲの洗濯設備、雨の日の乾燥対策、洗剤、持って行って良かった洗濯グッズを紹介します。
シャワーを浴びて少し休憩した後は、パンプローナの街へ出かけました。
パンプローナの街を散策
午後はパンプローナの旧市街を歩きました。
石畳の街並みや歴史ある建物が並び、カミーノの途中で街歩きを楽しむのにぴったりの場所でした。


毎年7月に開催される牛追い祭り(サン・フェルミン祭)で、牛追いがスタートする場所として知られるパンプローナ市庁舎を訪れました。

その後は、街の中心にあるカスティージョ広場へ向かいました。
広場の周囲にはカフェやレストランが立ち並び、多くの人が思い思いに過ごしていて、とても開放的な雰囲気でした。
巡礼中は自然の中を歩く時間がほとんどなので、活気のある街の空気を感じられたのも新鮮でした。

さらに、牛追い祭りの迫力を表現した「牛追いのモニュメント(Monumento al Encierro)」も見学しました。
人と牛が今にも走り出しそうな躍動感あふれるブロンズ像は迫力満点で、パンプローナを代表するフォトスポットの一つです。

最後に立ち寄ったLiberty Square(Plaza de la Libertad)は、ベンチや緑があり、地元の人もくつろぐ落ち着いた広場でした。
街歩きの途中にひと休みするのにもぴったりの場所です。

カミーノを歩き始めてから初めて訪れた大きな街ということもあり、街歩きそのものがとても楽しかったです。


パンプローナ大聖堂を見学
パンプローナ大聖堂(Catedral Metropolitana de Santa María la Real de Pamplona)にも入りました。

ここでは、大聖堂だけでなく博物館も見学しました。
入場料は3ユーロでした。
内部はとても静かで厳かな雰囲気があり、巡礼の途中で立ち寄る場所としてぴったりだと感じました。

身廊の中央には、ナバラ王カルロス3世と王妃レオノールの壮麗な墓碑が置かれていました。
白いアラバスターで造られた墓碑は非常に繊細な彫刻が施されており、大聖堂の中でもひときわ存在感を放っていました。


博物館では、大聖堂の歴史や宗教美術などを見学することができます。


また、回廊(クロイスター)がとても美しく、ゆっくり歩いているだけでも落ち着いた気持ちになりました。

カミーノでは自然の中を歩く時間が長いため、このような歴史ある建築や芸術に触れる時間は、とても良い気分転換になりました。
初めてのコミュニティディナー
夜20時からは、アルベルゲでコミュニティディナーが開かれました。

参加は自由でしたが、この日は宿泊者全員が参加していました。
実は、この時間がこの日一番緊張していたかもしれません。
私はもともと大人数で話すことが得意ではなく、英語での会話にも不安がありました。
宿泊者はフランス人、オーストラリア人、ドイツ人、ポーランド人、イギリス人などさまざまな国の巡礼者。
英語やフランス語などさまざまな言葉が飛び交い、とてもにぎやかな雰囲気でした。
最初は少し戸惑いましたが、同じ巡礼者という共通点があるからか、自然と会話が生まれ、少しずつ緊張もほぐれていきました。
私の隣にはフランス人の男性が座っていました。
英語はほとんど話せませんでしたが、身振り手振りや周りの人の通訳も交えながら話を聞くことができました。
その男性は息子さんと2人でカミーノを歩いていました。
もともとは一人で出発する予定だったそうですが、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに着くと、すでにフランス人の道を歩いたことがある息子さんがサプライズで待っていたそうです。
「お父さんと一緒に歩きたい」という思いから内緒で来たと聞き、親子で巡礼する姿がとてもすてきだと感じました。
同じテーブルを囲み、一緒に食事をする時間はとても温かく感じました。
この日の夕食は、サラダ、豆のスープ(ベジタリアン用もあり)、パン、ワイン。

デザートには、ドイツ人のオスピタレロが手作りしたリンゴのケーキが振る舞われました。

どれも素朴でおいしく、みんなで食べるからこそ、より特別な食事になったように思います。
食事の最後には、このアルベルゲで受け継がれている伝統行事が行われました。
コミュニティディナーにはオスピタレロだけでなく神父さんも同席しており、巡礼者から神父さんへ感謝の気持ちを込めてプレゼントを渡します。
プレゼントのクッキーは事前にオスピタレロが用意していて、そのクッキーを巡礼者の代表として日本人女性が神父さんへ手渡しました。
演出としてはシンプルなものでしたが、巡礼者みんなで神父さんへ感謝を伝えるという温かな雰囲気が心に残りました。
カミーノでの食事については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
カミーノ・デ・サンティアゴの食事事情|自炊・食費・名物を紹介カミーノ・デ・サンティアゴの食事事情を実体験から紹介。朝食・昼食・夕食の内容、自炊、携帯食、スーパー、巡礼メニュー、スペインの名物料理まで詳しく解説します。
宿泊者だけが参加できる特別なミサ
夕食の後は、アルベルゲに併設された教会で、宿泊者だけが参加できる特別なミサが行われました。
アルベルゲの建物の1階から教会へ直接つながる専用のドアがあり、そこから静かに教会へ入ります。
ミサが始まると、先ほどまでのにぎやかな雰囲気とは一変し、厳かな空気に包まれました。
この時間は写真を撮ることなく、その場の雰囲気を静かに感じながら過ごしました。
巡礼者だけが参加できる特別な時間ということもあり、言葉は十分に理解できなくても、その場の厳かな雰囲気や巡礼者同士の一体感が伝わってきて、とても印象深い体験でした。
まとめ|初めての寄付制アルベルゲで感じたカミーノの温かさ
スビリからパンプローナまで歩いた3日目は、前日までとはまた違ったカミーノの魅力を感じた一日でした。
パンプローナの旧市街や大聖堂を歩き、街の歴史や文化にも触れることができました。
そして何より印象に残ったのが、初めて宿泊した寄付制アルベルゲです。
世界各国から集まった巡礼者と食卓を囲み、コミュニティディナーや宿泊者限定のミサに参加したことで、カミーノは歩くだけでなく、人との出会いや交流も楽しめる旅なのだと実感しました。
英語での会話に緊張する場面もありましたが、参加してみると温かく受け入れてもらえたことも印象に残っています。
この日の体験がきっかけとなり、その後の巡礼でも寄付制アルベルゲを選ぶようになりました。
巡礼3日目にして、「この旅に来てよかった」と感じる大きなきっかけになった一日です。








